20151231

文無日記/風にねんかかる


文無日記/風にねんかかる

個展のタイトルでした。

年の瀬ですね。


やっと気持ちが落ち着いてきました。

展覧会が終わってすぐは、町でオレンジの物を見かけるとハッとなっていました。

オレンジの壁、オレンジの看板、オレンジの旗...

個展のポスターがオレンジ色だったので、その感覚が染み付いていて反応してしまっていました。

まるでもう亡き人を探しているような。

オレンジの視線を感じて振り返っては、あれは違うのよ、もう終わったのよ、と自分に言い聞かせていました。

こんなに目の中にまでオレンジ色が入ってきているなんて気づいていませんでした。




もう大丈夫です。


2015年は津奈木の年でした。


2015年のはじめ、私は川原の土手を走っていました。
その日は風が強くて、行きは追い風でよかったのですが、帰りが強い向かい風で走っても走ってもなかなか進みませんでした。

あと少しなのに。風はどんどん強くなります。

体は漫画のようにスローモーションで。まるで大きい空気の壁にぶちあたっているかのようでした。

突然、その風が大きい空気のボールのように感じて、私は走りながら「今、風にねんかかっても私は倒れない。風にねんかかれる。」と思いました。

(「ねんかかる」とは熊本弁で「寄りかかる」の意味です。)


もしねんかかってもボヨーンって跳ね返ってくるイメージです。
そこには確かな抵抗がありました。


風にねんかかる。その日以来あたまの中にこの言葉がありました。

詩ではないです。自分の体験がそのまま口から出て言葉になったのでした。



今年もあと二時間。



「文無日記」は去年の年末ふと降ってきた言葉です。

ぶんなしだけど、もんなし(一文無し)とも読めて、私、貧乏だしな、それでもいいな。

文章を書くのは苦手です。だけど
文が無くても日記を綴ってみたいな。



展覧会のタイトル、はじめはあたまの中にあった「風にねんかかる」にしようかな、と思ったけど、「風」という言葉がどうしても自分のなかでは使い古された感じがして、嫌だった。
風だの空だの海だの、なんかなぁ。
だけど、風の代わりになる言葉を探したけど、風に代わる言葉は見つからなかった。

あの日、わたしがねんかかったのは風だから。

 
 

(ふわっとした)風のイメージに蓋をしたくて、漢字四文字(小石のように少し重い)の「文無日記」を前にくっつけた。


文無日記/風にねんかかる


そうやって、自分の中でバランスをとった。




ねんかかる、ねんかかる、ねんかかる、

一年前にぽろりと口から出た言葉をこんなに言い続けるなんて思っていなかった。

でも確かに私はねんかかること無しには生きていくことができない。
悲しくも自分らしい。



2015年に挫折した目標、「背筋を伸ばす」を引き続き2016年の目標にしたいです。

 
 

 
 





 

20151219

ミコリ,山ユカ





そういえば、最終日前日
中学生二人が美術館にやって来た。

11/14のワークショップ、参加できなかったけど、本当は参加したかったって。
だから、写真を持って来たらできるよ、おいでって言った。

11/28
ミコリ,山ユカの手彩色絵葉書ワークショップ開催です!



勝手にアトリエを開放して、これが油絵具っていうんだよ。水じゃなくて油で溶くんだよ。なんて説明をしながら、白黒写真に彩色していきました。




この日は期末テスト期間中だったので、試験勉強の話しをしました。

ミコリちゃんが「そう言えば、美術の試験で武内さんに関しての問題が出るそうなんですけど、なんですか?」
って聞いてきてびっくりしました。
そんな話、聞いていません。
窓の外を通りかかった男子も聞いてきましたが、
「わからない、ごめんね。三原色の話しかな?」と真面目に答えました。
週に何回お風呂に入るでしょう?とかかな?と思ったけど、そんな事みんな知らない。





後日、どんなのだったか聞いたら、私のフルネームを書くのと、私が津奈木滞在中に絵を描いた海の場所はどこか、という問題だったらしい。

三ツ島海水浴場です。
武内明子


津奈木の絵葉書できました。きれい。


あと、三年生だから受験の話しとか。

私、勉強全然できなかったんだ。バカなんだよー。というと、
「うん、わかる!」って言われてしまいました。
そういう時って、否定してくれるもんだと思っていたのですが、
「授業もやばかったもん。みんな、喋り方やばいねーって言ってたよ。」
と言われて、またびっくりしました。
先生は生徒に尊敬されるもんだと思っていました。


まぁーいいか。先生じゃないし。

素直で美しい、津奈木の手彩色絵葉書。


なんだか、大人っぽくて賢そうな二人。









こんな事もあったな、と思い出し、日記を書きました。

受験がんばってね。








20151206

鑑賞会


文無日記<白ノート>


展覧会開催中に、津奈木中学校のみなさんが授業で美術館に来てくれて、私の絵をスケッチしてくれました。

自分の絵が描かれるのは初めてだったので、展覧会終了後このプリントを見て、感動しました。



中学生のワークシートと共に作品を少し紹介します。


鳥も泳ぎたい





今度の舟は大きい





ススのドローイング(停電の夜)





日記/海に描きに行く





君達兄弟だね





展覧展覧




ハートが一つあります(展覧展覧の一部)





文無日記/あとがき


横にしました


文無日記/あとがき(部分)




くるっと逆さにしたら、


あれ?



カモメが6羽飛んでるみたい。






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ススのドローイング




つなぎ塩レモン


夕焼ノート


空と空っぽ













20151129

転校生




中学校出張授業、最後のワークショップ、ブロンズマラソン。
秋のイベントも次々と終わった。

あとは、展覧会が終わるのを待つのみなのですが、津奈木でゆっくりしたいなと思って、11月19日、おれんじ鉄道に乗ってやって来た。

不知火海の際を走っています


出張授業で知り合った、中学三年生のみーちゃんが、21日に文化祭があるので来てください。と誘ってくれた。

準備は順調?と聞くと、「つまようじアート」が全然出来てなくて焦っている!と言っていて、つまようじアート?と思いながら、中学校に様子を見に行った。



放課後

技術室を覗くとみんな作業をしていて、私に気づいたみーちゃんが手を振って近づいて来ました。

全然終わってなくて、やばいんですよー!


どんな、つまようじのアートなんだろう、と思っていたら、つまようじを、黒、赤、黄、青、白....と色分けして塗って、それを一本づつ発泡スチロールに刺していき、点描のように絵を完成させるというものでした。
まあ、大変。

私もさっそく手伝いました。


先生が、もう帰りなさい!と言うまでやっていました。

外に出るとあたりはもう真っ暗で、みーちゃんと話しながら二人で帰りました。


20日

次の朝も歩いて中学校に登校しました。


技術室に行きました。

みんなは他の授業でいませんでした。

一人でコツコツつまようじを刺していきました。


事務の方がお茶を持ってきてくれたり、校長先生が見に来てくれました。

他の授業が終わった三年生も技術室に来て一緒につまようじを刺しました。

やっと1パーツできました!4時間くらいかかりました。

みんな頑張った甲斐があって、終わりの光が見えて来ました。

みーちゃんとほっと胸をなでおろしました。


四時間目の終わり頃、もうすぐ給食の時間だなぁ。(きっと顔に出てたんでしょうね)と思っていると、みーちゃんも、給食食べて行けばいいのに~!と意気投合しました。

担任の先生に、みーちゃんが給食を食べていいか聞いてくれましたが、先生は、校長先生に聞かないと...とおっしゃるので、みーちゃんと二人で校長室に行きました。
「校長先生、優しいからぜったい大丈夫だよ。」とか「ぜったい給食食べたいよー」とか廊下で打ち合わせをして、にやにやしながら校長室に入っていきました。

「あーどうもどうも武内さん、たくさん手伝ってくれて、ありがとうございます。」
私の頭の中は給食でいっぱいでしたが、いっとき世間話をしました。

「いやーなんか、お礼ばせなんですね。」
と校長先生が言ったので、みーちゃん!今だよ!給食の話を!と思ったら、みーちゃんは、元気な声で「歌!」と言いました。
いやー歌のプレゼントもかなり素敵ですが、給食が...食べたい。
もう我慢できず、みーちゃんの耳元で「給食、給食,,,」と囁きました。

「給食食べてもいいですか?」とみーちゃんが聞くと、校長先生は快く承諾してくださいました。

やったー!17年ぶりの給食です。
もう一度食べたいと思っていた、夢の給食。


懐かしい、給食独特のにおいがしました。



机をくっつけて、私の分を配膳してくれました。

今日のおかずは、シチューに米粉パン、


あ~!マーシャルビーンズ!懐かしい!


目の前の給食には興奮しっぱなしでしたが、慣れない教室には緊張していて、この感じ何かに似ているなと思ったら、転校生の気持ちでした。
でもみーちゃんが隣の席だったので安心できました。

そして、久しぶりの給食を食べてみて思ったのが、量、少なくない?でした。
私が大食いになったのかな。

おいしかったです。



牛乳パックのたたみ方を教えてもらいました。


ごちそうさまでした。

 大きいおかず




給食を食べ終わった後、生徒達が何かを持って廊下に次々と出ていきます。





何をしているんだろうと思ったら、歯磨きでした。




びっくりして、「歯磨きの時間、私の時代はなかったよ。」
と言うと、「えー汚いー!」と言われてしまいました。



だって、本当に小学校も中学校もなかったんだもん。

だから、みんなが廊下で歯を磨いている光景がとても新鮮に見えました。



昼休みが始まると、教室の後ろに並び出して、合唱コンクールの練習をはじめました。
中学生が分単位で動いていることに驚かさせられました。

久しぶりに生の合唱を聞いて、なんだか涙が出てきそうな感じでした。


昼休みにおいとまして、放課後また様子を見に行きました。



つまようじアート、完成です!(わかりますか?校舎の前にみんなが集合しているところ。角度で見え方が変わります。)
よく頑張ったね。


21日
文化祭当日




クラスの一人一人が特別に見えました。

転校生と仲良くしてくれて、ありがとう。