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最後の日記が書けないでいた。
書くと言ったから、書かないといけないとずっと思っていたけど、パソコンを開くのも億劫で、あした書こう、あした書こうと毎日先延ばし。
展覧会が始まって、二十日ちょっと。絵達はがんばっているだろうか。お客さんは来てくれているのだろうか。
ギリシャから帰ってからはその後、京都に二日間行っただけで、あとは布団の上にずっといる。私は何日も眠り続けた。嘘じゃない。目が覚めては目ヤニを拭い、また寝る。というのを繰り返している。
今日、お昼に目が覚めると熊本の知人から、新聞に載っていたよ。と連絡が入っていた。
久しぶりに夢から覚めた気分だった。
(熊本日日新聞2015/10/12月)
(1.2.撮影・小田崎智裕)
(1.2.撮影・小田崎智裕)
小野さんの記事。
うたかたの夢 描かれた幸福
今はもう津奈木で絵を描いていた日々とは違う。
津奈木という土地にいた私は今、布団という狭く平らなスポンジの上にいる。
津奈木から遠い場所。
眠りの間は距離は感じない。
だけど目覚めた瞬間に深い深い距離を感じる。
起きなければならない。
最後の日記はいつでもいいや。
久しぶりに目が覚めた一日。
きっと今日も幸福で明日もきっと幸福でありますように。