20151129

転校生




中学校出張授業、最後のワークショップ、ブロンズマラソン。
秋のイベントも次々と終わった。

あとは、展覧会が終わるのを待つのみなのですが、津奈木でゆっくりしたいなと思って、11月19日、おれんじ鉄道に乗ってやって来た。

不知火海の際を走っています


出張授業で知り合った、中学三年生のみーちゃんが、21日に文化祭があるので来てください。と誘ってくれた。

準備は順調?と聞くと、「つまようじアート」が全然出来てなくて焦っている!と言っていて、つまようじアート?と思いながら、中学校に様子を見に行った。



放課後

技術室を覗くとみんな作業をしていて、私に気づいたみーちゃんが手を振って近づいて来ました。

全然終わってなくて、やばいんですよー!


どんな、つまようじのアートなんだろう、と思っていたら、つまようじを、黒、赤、黄、青、白....と色分けして塗って、それを一本づつ発泡スチロールに刺していき、点描のように絵を完成させるというものでした。
まあ、大変。

私もさっそく手伝いました。


先生が、もう帰りなさい!と言うまでやっていました。

外に出るとあたりはもう真っ暗で、みーちゃんと話しながら二人で帰りました。


20日

次の朝も歩いて中学校に登校しました。


技術室に行きました。

みんなは他の授業でいませんでした。

一人でコツコツつまようじを刺していきました。


事務の方がお茶を持ってきてくれたり、校長先生が見に来てくれました。

他の授業が終わった三年生も技術室に来て一緒につまようじを刺しました。

やっと1パーツできました!4時間くらいかかりました。

みんな頑張った甲斐があって、終わりの光が見えて来ました。

みーちゃんとほっと胸をなでおろしました。


四時間目の終わり頃、もうすぐ給食の時間だなぁ。(きっと顔に出てたんでしょうね)と思っていると、みーちゃんも、給食食べて行けばいいのに~!と意気投合しました。

担任の先生に、みーちゃんが給食を食べていいか聞いてくれましたが、先生は、校長先生に聞かないと...とおっしゃるので、みーちゃんと二人で校長室に行きました。
「校長先生、優しいからぜったい大丈夫だよ。」とか「ぜったい給食食べたいよー」とか廊下で打ち合わせをして、にやにやしながら校長室に入っていきました。

「あーどうもどうも武内さん、たくさん手伝ってくれて、ありがとうございます。」
私の頭の中は給食でいっぱいでしたが、いっとき世間話をしました。

「いやーなんか、お礼ばせなんですね。」
と校長先生が言ったので、みーちゃん!今だよ!給食の話を!と思ったら、みーちゃんは、元気な声で「歌!」と言いました。
いやー歌のプレゼントもかなり素敵ですが、給食が...食べたい。
もう我慢できず、みーちゃんの耳元で「給食、給食,,,」と囁きました。

「給食食べてもいいですか?」とみーちゃんが聞くと、校長先生は快く承諾してくださいました。

やったー!17年ぶりの給食です。
もう一度食べたいと思っていた、夢の給食。


懐かしい、給食独特のにおいがしました。



机をくっつけて、私の分を配膳してくれました。

今日のおかずは、シチューに米粉パン、


あ~!マーシャルビーンズ!懐かしい!


目の前の給食には興奮しっぱなしでしたが、慣れない教室には緊張していて、この感じ何かに似ているなと思ったら、転校生の気持ちでした。
でもみーちゃんが隣の席だったので安心できました。

そして、久しぶりの給食を食べてみて思ったのが、量、少なくない?でした。
私が大食いになったのかな。

おいしかったです。



牛乳パックのたたみ方を教えてもらいました。


ごちそうさまでした。

 大きいおかず




給食を食べ終わった後、生徒達が何かを持って廊下に次々と出ていきます。





何をしているんだろうと思ったら、歯磨きでした。




びっくりして、「歯磨きの時間、私の時代はなかったよ。」
と言うと、「えー汚いー!」と言われてしまいました。



だって、本当に小学校も中学校もなかったんだもん。

だから、みんなが廊下で歯を磨いている光景がとても新鮮に見えました。



昼休みが始まると、教室の後ろに並び出して、合唱コンクールの練習をはじめました。
中学生が分単位で動いていることに驚かさせられました。

久しぶりに生の合唱を聞いて、なんだか涙が出てきそうな感じでした。


昼休みにおいとまして、放課後また様子を見に行きました。



つまようじアート、完成です!(わかりますか?校舎の前にみんなが集合しているところ。角度で見え方が変わります。)
よく頑張ったね。


21日
文化祭当日




クラスの一人一人が特別に見えました。

転校生と仲良くしてくれて、ありがとう。







20151124

つなぎブロンズマラソン


11月15日日曜日。津奈木町で開催されたつなぎブロンズマラソンに参加しました。

津奈木での滞在制作が始まる前から、このマラソン大会に出たいと思っていて、それを目標に、滞在中、毎朝ランニングするんだ、と健康的な計画を思い描いていたのですが、結局一日も走ることなく...滞在を終えました...。
フルマラソンだと思っていたら、最長が10キロだと知って、なんだか気が抜けてしまったのです。
というのは言い訳で、「早朝ランニング」する精神を身に付けることは私にとってそう簡単な事ではありませんでした。



マラソン前日。
お泊りさせてもらっている、みっちゃん家でユニフォームの制作をしました。

こんなに散らかしてごめんね。


現在開催中の展覧会のチラシとポスターを使って、夜中にこそこそ、くるみちゃんと作っていました。




そう。今回のブロンズマラソンのゲストランナーは、友人の若木くるみです!


二人で活動したりもしていますが(ワカキ撮り計画)、津奈木でもこのような形で一緒に走ることができて、嬉しいです!
(私は、国内初マラソン!)



そんなことで、翌朝、


くるみの後頭部に町長の顔を描きました。




衣装も町長も無事に出来上がり、開会式に向かいます。



私も流れで壇上へ。


がんばりましょうー!



くるっと正面向いて、ダブル町長と記念撮影。




小国から、ジャージー牛が駆けつけてくれました!

(本当はジャージー牛ではなくて小国中の美術の杉先生です)

写真撮影をしてくれます!



昨日は土砂降りでしたが、今日は見事な晴天に恵まれました。




まずは、小学生の部。



スタート!がんばれー



10キロの部スタートまでには結構時間があります。


3キロの部。



5キロの部。





いよいよ、スタート地点へ。



「なぜ若木くるみの後頭部に顔があるかと言いますと、マラソンの時に、自分より後ろを走っているランナーに元気になってほしいからなんです。」とか、少し時間があったので、そんな後頭部の由来の話をしました。



位置について。

ようい、ドン。





コース途中の町長の家の前で。豪邸です!




くるみちゃんは、町長と若木くるみの両方で走っていました。


「あら、町長にそっくりばい。」


津奈木町民はみんな、町長の顔を知っているからすごいです。



私は、チラシの束を持って、配りながら走りました。



津奈木町は、今年に入って人口5000人をきりました。
滞在中は、人が減っていくことを毎日のように実感していた。

寂しさがありました。


だけど、津奈木町には美術館があります。
小さな町ですが、美術館があります。
私はそれはとてもすごいことだと思っています。




くるみちゃんは、一人一人に大きな声援を送っていました。




今日、チラシを配りながら走ろう、なんて思っていなかったけど、スタートする前に急に今しかないと思って、そうすることにした。
マラソンの日という力を借りて、住民の方と近づける機会は今日しかないって思った。


津奈木の豊かな自然の中。
笑顔で声援を送ってくれる、沿道の方、おじいちゃんおばあちゃん。
変な格好のくるみちゃん、後頭部の町長、破れかけた紙の服で走る私。

変だけど、全然変じゃなかった。
私の中ではつじつまがあっていた。

「是非つなぎ美術館に来てください。」そんな風に自信を持って言えた。




津奈木町にすごく感謝している。
津奈木町での滞在制作、幸せだった。
町の美術館で展覧会できて嬉しい。






そんな気持ちが形になった。







だからこそ、町の人に見て欲しいんだ。


美術館、来てくれないかな。





折り返し地点通過する頃には、チラシはすべて配り終えた。


津奈木の岩肌、海、おれんじ畑、見たことある風景も知ってる道も、走っていると違う角度で見えてきて、一歩一歩踏み出すごとに、これまでの津奈木滞在の記憶を踏みしめるような、エンドロールみたいな、寂しくも少し清らかな、そう、走っているコースにはなんらかの思い出があって。

「今日は走らせてもらっています。」そんな気持ちだった。

楽しかった。





遠来賞、頂いちゃいました。




抽選会。沖縄旅行、期待してたけど、当たらなかった。
残念。






暮らした町のことが好きになって、そこで生まれた絵達のことも私は好きになった。

展覧会は時間。ただの時間。ただ時間があるだけ。

だけど、ただの時間の中で私は今日、好きな町を走ることができた。