うとうとと寝てしまって、急に雨が吹き込んで来たので窓を閉めた。
午前4時前に風の音、物が飛んでどこかにぶつかる音がすごかったので目を覚ました。
めずらしく電気を消して寝たんだぁ、と思って電気をつけようとしたら、つかなかった。停電だ。
枕元の窓が割れたらこの部屋すごいことになるな。どうか、割れませんように。
またうとうと寝た。
テレビもラジオもないので(あっても停電だから見られないけど)、有線放送がつよい味方。
少しの情報でも知るとホッとする。
昨日から、台風には惑わされないぞ、と宣言していたのですが、停電するとは思ってなかった。
明るいうちに明るいうちに、と制作を始めた。
下川さんが美術館に来ていることがわかったので、昼からは美術館で制作することにした。
最近、閉じこもりの精神で閉め切っていたカーテンを全開にした。
すこし薄暗かったけど、目はすぐに慣れた。
来る途中も大木が根こそぎ倒れていたり、看板が吹っ飛んでいたり、家の中ってどれだけ守られているんだろう。
電気がなくても太陽の光があれば絵は描ける、と強気でいたのですが、トイレと事務所を何度も往復する下川さんの足音に気づいて、何をしているのだろうと思ったら、「流れない...」と水を運んでいるところでした。断水かぁ。それにはすこし焦りました。
でも不思議と、なんでこんなギリギリの時期に台風が来たんだよ、とは思いませんでした。
いつもとは違う感じで気持ちが引き締まりました。
5時。
ペットボトルに水をくんで、懐中電灯をお借りして、下川さんに車で家まで送ってもらいました。
信号機が真っ暗で青、黄、赤のどの色も光ってないのが不思議だった。
家の外壁には葉や枝が沢山付いていて、玄関のドアを開けたら部屋の中も物が散乱して滅茶苦茶になっていたのですが、違いました。これは私が散らかした、普段のありさまでした。
明るいうちに色々済ませないと。
散乱した部屋をすこし片付け、朝の制作の続きをしました。
そのあと、大盛りパスタを食べ、満腹にして自分に安心感を与えました。
そして横になり、空を見ていました。
暗くなる前にと思いつつ、暗くなるのを待っていた感じもしました。
夜は暗くなる
手を出したら、
画面が手を差し伸べてきた。
ススで絵を描く時間です。
特別な夜でした。